第二章 アイアイの大冒険 第二章5 Hikasawa Kikori 鉄のようなにおいがする扉の前で、ふたりは立ち止まった。 猫族の使者は、無言のまま壁のくぼみに手を差し入れると、何かをゆっくりと押し込んだ。カチリ、と鈍い音。それだけで、重た …
第二章 アイアイの大冒険 第二章4 Hikasawa Kikori アイアイは言葉を失い、その場に立ち尽くした。 風が吹いた。だが、どこから吹いているのか、分からなかった。 猫族の使者は何も言わなかった。ただ静かに、そこに立っていた。 …
第二章 アイアイの大冒険 第二章3 Hikasawa Kikori 王都では“正しさ”だけが”正しい”かのようだった。 その正しさは、甘さも、ぬくもりも、感情さえも置いてけぼりにしているように思えた。 デバ石の出した正解にだけ、”正しさ”に …
第二章 アイアイの大冒険 第二章2 Hikasawa Kikori 大広間の奥には、天井近くまで伸びる棚が並んでいた。 だが、その棚には本ではなく、きらびやかな菓子箱や、空っぽのガラス瓶が所狭しと詰め込まれていた。 中央に、ひとり …
第二章 アイアイの大冒険 第二章1 Hikasawa Kikori ふたりは並んで、城を見上げていた。 高くそびえる塔と、そのまわりを囲む丸屋根の群れ。重たい雲がその背をなでるように流れていく。王城は、まるで空そのものとつながっているように …
第一章 アイアイの大冒険 第一章9【第一章 完】 Hikasawa Kikori 誰かが、図書館の前で立ち止まっていた。アイアイはその建物を見て、思わず駆け寄った。 「……図書館! 情報があるかもしれない!」 しかし扉には、デバ石の端末と、小さな文 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章8 Hikasawa Kikori 王都ザラーリンの中へ足を踏み入れたとたん、空気が変わった。 外の風の流れとは違う、どこか止まったような空気。街の中心部に近づくにつれ、その静けさは重さを帯びていった。 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章7 Hikasawa Kikori くぐもったような声が、草むらの向こうから響いた。 アイアイはびくりとして顔をあげた。 アイアイは暗がりから焚き火の明かりの中に入ってきた人物に急いで焦点を合わせた。 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章6 Hikasawa Kikori アイアイは、自分がまだ子どもで一人旅をしているのを不審に思って入城を断られたのだと思うことにした。デバ石のことは適当なことを言って追い払うための口実だったのだと。思えば、入城を待 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章5 Hikasawa Kikori 夕暮れが近づくころ、丘の向こうにようやくザラーリンの城壁が姿を現した。 陽の光を浴びて赤く染まる石造りの壁は、高く、厚く、どこか冷たさを感じさせるような重々しい存在 …