第五章 アイアイの大冒険 第五章21 Hikasawa Kikori アイルは しんと静まり返った廊下を忍び足で進んだ。モヤモヤを胸に抱えながら、心臓が落ち着かないまま早鐘を打っている。「……シーカー、近くにいるの……?」問いかけると、モヤモヤは光 …
第五章 アイアイの大冒険 第五章20 Hikasawa Kikori アイルは診断室の白い天井を見上げたまま、先程、聞いた小さな声を思い返していた。 ――「アイル…ダイジョブ…ブブブ…ダイジョブ」 胸のあたりで光がふるえる。膝に乗ったモ …
第五章 アイアイの大冒険 第五章19 Hikasawa Kikori 扉の向こう、図書室の空気が揺れている。扉の向こうの空間に、羽音が静かに混じっていく。 「……来ましたね。ふー……探しています」スペーラーが扉に耳を当てて言った。 「ど …
第五章 アイアイの大冒険 第五章18 Hikasawa Kikori シーカーは、ただ走っていた。どこへ向かっているのかもわからないまま、ただ追い立てられるままに。 背後から、羽ばたきと金属の擦れる音が迫ってくる。 「侵入者、北側回廊に移動! …
第五章 アイアイの大冒険 第五章17 Hikasawa Kikori 光の中を漂い、浮いた体は何度、回転したのだろうか。眼前を覆いつくす青白い光がはじけた瞬間、シーカーは背中から着地した。痛みを堪え、勢いよく体を起こし、あたりを見回す。 胸が …
第五章 アイアイの大冒険 第五章16 Hikasawa Kikori 「そうです。その仲間の名前がシーカーです…」アイルは泣き出しそうな声とともに言った。 簡易診断室は、白い石壁に囲まれた静かな部屋だった。天井の淡い光が脈打ち、部屋全体に柔ら …
第五章 アイアイの大冒険 第五章15 Hikasawa Kikori アイルはメリウス先生のあとを歩いていた。学舎の廊下はひんやりと冷たく、まるで建物そのものが静かに息をしているようだった。 壁際には古い書物と器具が並び、棚には研究員たちが扱 …
第五章 アイアイの大冒険 第五章14 Hikasawa Kikori 落下する、というよりも――浮かんでいた。重力の感覚が消え、足も腕も、身体そのものの輪郭さえ曖昧になる。光だけが流れ、色だけが揺れ、耳の奥で風のようなものが鳴った。 やがて― …
第五章 アイアイの大冒険 第五章13 Hikasawa Kikori 静寂を破ったのは、スペーラーのため息だった。「えー…最良のパターン、転送装置。最悪のパターン、処刑装置……ふー」「ふーっじゃないですって! スペーラーさん!!」シーカーの大声が響 …
第五章 アイアイの大冒険 第五章12 Hikasawa Kikori 朝靄の残る霧丘を、三人は歩いていた。夜の冷気がまだ地面に残っていて、草の先に露が光る。遠くで鳥の声がした。アイルは深呼吸をして、胸の奥まで冷たい空気を吸い込んだ。「朝っていいね。 …