第五章 アイアイの大冒険 第五章27 Hikasawa Kikori 警備室を出ると、廊下の空気は驚くほど静かだった。さきほどまでの張りつめた気配が嘘のように、石壁に反射する淡い灯りが、学院の夜を穏やかに包んでいる。 「……急に、静かですね」 …
第五章 アイアイの大冒険 第五章26 Hikasawa Kikori 警備室の空気は、張りつめたまま動かなかった。だが、その中心に立つメリウスの存在だけが、異質だった。 「……学長、これは規則違反です」 ヘルマンが低く言った。その声音に …
第五章 アイアイの大冒険 第五章25 Hikasawa Kikori 警備室の奥、簡易拘束区画。石壁に沿って設えられた低い腰掛けに、アイルは座らされていた。両手首には拘束具――必要以上に強い力で縛られているような気がする。 アイルは状況を冷静 …
第五章 アイアイの大冒険 第五章24 Hikasawa Kikori ガチャーン…… ――ガチャ。 「ありがとう、モヤモヤ」 閉まっていたはずの警備室の扉は、あっけなく、音を立てて開いた。アイルはそれを当然のことのように押し開け、 …
第五章 アイアイの大冒険 第五章23 Hikasawa Kikori 大階段を降りるアイルの目線にはあるものが見えてきた。コルヴィンは何かにおびえたようにうつむき足元だけを見ている。アイルは目線の先、階段を降りた先に、金属の硬い冷たさを感じていた。 …
第五章 アイアイの大冒険 第五章22 Hikasawa Kikori 大階段へ向かう通路は、恐ろしいほどに冷たく澄んでいた。アイルは胸にモヤモヤを抱え、コルヴィンを引っ張るようにして早足で廊下を進んだ。 「ア、アイルさん!そんな急がなくても… …
第五章 アイアイの大冒険 第五章21 Hikasawa Kikori アイルは しんと静まり返った廊下を忍び足で進んだ。モヤモヤを胸に抱えながら、心臓が落ち着かないまま早鐘を打っている。「……シーカー、近くにいるの……?」問いかけると、モヤモヤは光 …
第五章 アイアイの大冒険 第五章20 Hikasawa Kikori アイルは診断室の白い天井を見上げたまま、先程、聞いた小さな声を思い返していた。 ――「アイル…ダイジョブ…ブブブ…ダイジョブ」 胸のあたりで光がふるえる。膝に乗ったモ …
第五章 アイアイの大冒険 第五章19 Hikasawa Kikori 扉の向こう、図書室の空気が揺れている。扉の向こうの空間に、羽音が静かに混じっていく。 「……来ましたね。ふー……探しています」スペーラーが扉に耳を当てて言った。 「ど …
第五章 アイアイの大冒険 第五章18 Hikasawa Kikori シーカーは、ただ走っていた。どこへ向かっているのかもわからないまま、ただ追い立てられるままに。 背後から、羽ばたきと金属の擦れる音が迫ってくる。 「侵入者、北側回廊に移動! …