第四章

第四章

アイアイの大冒険 第四章⑪

瓦礫をくぐり抜け、四人は地下通路に身を滑り込ませた。そこは背をかがめなければ進めないほど狭く、湿気がひどく、空気は息苦しいほど重かった。崩れた石と泥の匂いが鼻を刺し、遠くで水滴がぽたりと落ちる音が反響していた。「……せまっ……うう、こわいよ...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑩

猫の使者は、白い人形がゆっくりとアイアイとグリグリの方角へ進んでいくのを見つめ、低くつぶやいた。「……なるほど...そういうことなのですね。」その言葉に、アイアイとグリグリは顔を上げる。だが猫の使者はそれ以上は言わず、外套の内から素早く縄を...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑨

しばしの休息のあと、四人は意を決して小講義室の扉を押し開けた。廊下の先には、まだひんやりとした冷気と、どこかでざわめくような気配が漂っていた。アイアイの胸の奥ではデバ石が微かに震え、先に進まなければならないと告げているようだった。「……あっ...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑧

小講義室の薄明かりの中、オイラーはあくび混じりに目をこすりながら、唖然とするアイアイたちに向けて、もう一度言った。「だからさ、手伝ってやってもいいけど……食べ物はちゃんと出してよね。これが条件」グリグリは耳をピンと立てて大げさに叫んだ。「え...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑦

崩れた小講義室の中、オイラーと名乗ったモグラ族の少年は、目を閉じたまま近くの壁にもたれかかった。『ふわぁ』と欠伸をして、そのまま寝てしまったようだった。アイアイたち三人はまだ警戒を解かずに見つめていたが、彼には緊張というものがまるでないよう...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑥

どれほど走ったのか、三人はついに息をつき、崩れ落ちそうな小部屋に身を隠した。そこは学舎の一角にある小講義室の跡で、壁の半分は崩れて穴が空き、外の冷気がしみ込んできていた。いまのところは白い人形、ウーセルの群れの気配は追ってこない。しばらくは...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑤

グリグリの叫び声が広間にこだまする中、二体のウーセルは同じ速さで歩を進めてきた。のっぺりとした顔は感情を持たぬはずなのに、その迫る気配は生々しい恐怖となって三人の喉を締めつけた。アイアイは台座に目をやった。デバ石がまだ反応している。霧のよう...
第四章

アイアイの大冒険 第四章④

白い人形が透けるように消え去った後、廊下は深い沈黙に包まれた。冷気はなお残り、空気は張りつめたままだった。ついさっきまで異形の存在が横たわっていたはずの場所を見つめても、そこにはただの石畳が広がっているだけだった。だが、三人の胸には「確かに...
第四章

アイアイの大冒険 第四章③

廊下を進むごとに、冷気はさらに濃くなった。足元の石畳はところどころひび割れ、そこから黒い草のようなものが伸びている。誰も手入れをしていないはずのそれは妙に瑞々しく、まるで生きた血管が床を這っているかのように見えた。グリグリは顔をしかめ、アイ...
第四章

アイアイの大冒険 第四章②

ツヴェイの背から降り立った一行は、ひんやりとした石畳に足を置いた。そこはすでに“廃墟の学舎”だった。学舎の外庭はひどく冷えており、足裏から伝わる石畳は昼間だというのに夜の墓石のように冷たかった。蔦が壁を覆い、高くそびえていたはずの塔は半ば崩...