第四章

第四章

アイアイの大冒険 第四章㉑ 【第四章 完】

アイルは、しばらくのあいだ何も言わずに立っていた。光が消えたあとも、まるで夢の続きの中にいるような表情だった。やがて、彼女は小さく首を傾げて口を開いた。「……ここは、どこ? あなたたちは……だれ?」その声は、確かに映像で聞いたアイルのものだ...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑳

大空洞のざわめきから完全に遠ざかると、通路には信じられないほどの静けさが戻っていた。息を整えるたびに、胸の奥に新しい空気が満ちていく。暗闇を抜けた先に、ようやくかすかな青白い光――広間へ続く導線の光が見えた。アイアイたちは無言のまま顔を見合...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑲

爆発の余韻が消え、しばらくしてから耳に静寂が戻ってきた。通路のあちこちで火薬の燃え残りがくすぶり、小さな炎がじりじりと床を照らしていた。赤橙の揺らめきが、暗闇の通路に不気味な生命のような影を踊らせている。「……床が……」アイアイが恐る恐る前...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑱

オイラーをのぞく三人には希望が見えていなかった。ここから数分後には現実化するであろうウーセルたちの到達で、自分たちはどうなってしまうのかという想像が頭をよぎる。それは恐怖の想像でしかなく、今、このとき、気絶しているオイラーのことがうらやまし...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑰

広間の台座へと、アイアイとグリグリは勢いよく駆け込んだ。台座周辺に足を踏み入れた瞬間、空気が張り詰め、胸の奥が押し潰されそうになる。台座は青白い光を脈打ち、床にたまった薄霧がその光と共鳴するかのように揺らめいていた。明らかに周辺とは違う冷た...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑯

手を取り合ったまま、四人は保守用通路をさらに奥へ進んだ。壁の銅管はところどころで青白く脈動し、その明滅が足もとを不規則に照らす。汗ばむ掌の温度まで明滅に合わせ増幅して返ってくるようで、不思議な感覚になる。誰もが握る手を離せなかった。やがて通...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑮

保守用通路は、導力室の整然とした銅管の輝きとはまるで別世界だった。通路の幅は人ひとりがやっと通れるほどで、壁面には苔と湿った泥が張り付き、ところどころから地下水が滴り落ちていた。背をかがめなければ進めず、頭上を掠めるように錆びた管が這ってい...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑭

中庭の扉を押し開けた先は、湿った石の匂いとはまったく異なる空気が満ちていた。壁や床には金属の管や銅線のようなものが縦横に這い、まるで血管のように室内を埋め尽くしている。そこは古い魔術機関室――導力室だった。アイアイは思わず部屋中に張り巡らさ...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑬

「ほら、食べ物だよ……」アイアイとグリグリが差し出した干し肉を、オイラーはぱっと目を輝かせて受け取った。バリバリ、バリバリ。あまりに豪快にかみ砕く音が、湿った地下通路に響いた。「……この状況でよくそんなにたくさん食べれるね……」グリグリが尻...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑫

四人は大空洞の縁に沿った細い通路を進んでいた。頭上から滴る水滴が石に落ちるたび、通路全体が低く鳴り響き、まるで巨大な生き物の心臓音のように聞こえる。「……せ、狭い……ひぃ……下見たらだめだ下見たらだめだぁぁ……」グリグリが壁にへばりつきなが...