第二章 アイアイの大冒険 第二章① Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ ふたりは並んで、城を見上げていた。 高くそびえる塔と、そのまわりを囲む丸屋根の群れ。重たい雲がその背をなでるように流れていく。王城は、まるで空そのものとつながっているように …
第一章 アイアイの大冒険 第一章⑨【第一章 完】 Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 誰かが、図書館の前で立ち止まっていた。アイアイはその建物を見て、思わず駆け寄った。 「……図書館! 情報があるかもしれない!」 しかし扉には、デバ石の端末と、小さな文 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章⑧ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 王都ザラーリンの中へ足を踏み入れたとたん、空気が変わった。 外の風の流れとは違う、どこか止まったような空気。街の中心部に近づくにつれ、その静けさは重さを帯びていった。 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章⑦ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ くぐもったような声が、草むらの向こうから響いた。 アイアイはびくりとして顔をあげた。 アイアイは暗がりから焚き火の明かりの中に入ってきた人物に急いで焦点を合わせた。 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章⑥ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ アイアイは、自分がまだ子どもで一人旅をしているのを不審に思って入城を断られたのだと思うことにした。デバ石のことは適当なことを言って追い払うための口実だったのだと。思えば、入城を待 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章⑤ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 夕暮れが近づくころ、丘の向こうにようやくザラーリンの城壁が姿を現した。 陽の光を浴びて赤く染まる石造りの壁は、高く、厚く、どこか冷たさを感じさせるような重々しい存在 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章④ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ なにかの聞き間違いだと思ってアイアイは特に気にしなかったが、まわりを見回したことで別のあることが気になった。 「おばあさんは、デバ石はもっていないんですか?」 この世 …
第一章 アイアイの大冒険 第一章③ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 川を渡り、午後になったころ、小さな林を抜けた先で、一本の煙が空に向かって細く立ち上っているのが見えた。 近づいていくと、そこには旅装束をまとった年老いた老婆が腰を下ろし、焚 …
第一章 アイアイの大冒険 第1章② Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ それから少し進んだ先で、小さな川が現れた。細く蛇行するその流れは透明で、底の石がはっきりと見えるほどだった。 川縁に腰を下ろしたアイアイは、ポケットをさぐり、カラスの嘴から …
第一章 アイアイの大冒険 第一章① Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 水平線の向こうへとつづく一本の街道を、ひとりの少年が歩いていた。 朝からの霧はまだ晴れておらず、見渡す先には、かすんだ丘の稜線がぼんやりと浮かんでいた。上空には1羽のカラス …