第四章 アイアイの大冒険 第四章⑲ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 爆発の余韻が消え、しばらくしてから耳に静寂が戻ってきた。通路のあちこちで火薬の燃え残りがくすぶり、小さな炎がじりじりと床を照らしていた。赤橙の揺らめきが、暗闇の通路に不気味な生命 …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑱ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ オイラーをのぞく三人には希望が見えていなかった。ここから数分後には現実化するであろうウーセルたちの到達で、自分たちはどうなってしまうのかという想像が頭をよぎる。それは恐怖の想像で …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑰ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 広間の台座へと、アイアイとグリグリは勢いよく駆け込んだ。台座周辺に足を踏み入れた瞬間、空気が張り詰め、胸の奥が押し潰されそうになる。台座は青白い光を脈打ち、床にたまった薄霧がその …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑯ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 手を取り合ったまま、四人は保守用通路をさらに奥へ進んだ。壁の銅管はところどころで青白く脈動し、その明滅が足もとを不規則に照らす。汗ばむ掌の温度まで明滅に合わせ増幅して返ってくるよ …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑮ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 保守用通路は、導力室の整然とした銅管の輝きとはまるで別世界だった。通路の幅は人ひとりがやっと通れるほどで、壁面には苔と湿った泥が張り付き、ところどころから地下水が滴り落ちていた。 …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑭ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 中庭の扉を押し開けた先は、湿った石の匂いとはまったく異なる空気が満ちていた。壁や床には金属の管や銅線のようなものが縦横に這い、まるで血管のように室内を埋め尽くしている。そこは古い …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑬ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 「ほら、食べ物だよ……」アイアイとグリグリが差し出した干し肉を、オイラーはぱっと目を輝かせて受け取った。 バリバリ、バリバリ。あまりに豪快にかみ砕く音が、湿った地下通路に響 …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑫ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 四人は大空洞の縁に沿った細い通路を進んでいた。頭上から滴る水滴が石に落ちるたび、通路全体が低く鳴り響き、まるで巨大な生き物の心臓音のように聞こえる。 「……せ、狭い……ひぃ …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑪ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 瓦礫をくぐり抜け、四人は地下通路に身を滑り込ませた。そこは背をかがめなければ進めないほど狭く、湿気がひどく、空気は息苦しいほど重かった。崩れた石と泥の匂いが鼻を刺し、遠くで水滴が …
第四章 アイアイの大冒険 第四章⑩ Hikasawa Kikori ヒカサワキコリブログ 猫の使者は、白い人形がゆっくりとアイアイとグリグリの方角へ進んでいくのを見つめ、低くつぶやいた。「……なるほど...そういうことなのですね。」その言葉に、アイアイとグリグリは顔を …