2025-11

第四章

アイアイの大冒険 第四章⑮

保守用通路は、導力室の整然とした銅管の輝きとはまるで別世界だった。通路の幅は人ひとりがやっと通れるほどで、壁面には苔と湿った泥が張り付き、ところどころから地下水が滴り落ちていた。背をかがめなければ進めず、頭上を掠めるように錆びた管が這ってい...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑭

中庭の扉を押し開けた先は、湿った石の匂いとはまったく異なる空気が満ちていた。壁や床には金属の管や銅線のようなものが縦横に這い、まるで血管のように室内を埋め尽くしている。そこは古い魔術機関室――導力室だった。アイアイは思わず部屋中に張り巡らさ...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑬

「ほら、食べ物だよ……」アイアイとグリグリが差し出した干し肉を、オイラーはぱっと目を輝かせて受け取った。バリバリ、バリバリ。あまりに豪快にかみ砕く音が、湿った地下通路に響いた。「……この状況でよくそんなにたくさん食べれるね……」グリグリが尻...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑫

四人は大空洞の縁に沿った細い通路を進んでいた。頭上から滴る水滴が石に落ちるたび、通路全体が低く鳴り響き、まるで巨大な生き物の心臓音のように聞こえる。「……せ、狭い……ひぃ……下見たらだめだ下見たらだめだぁぁ……」グリグリが壁にへばりつきなが...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑪

瓦礫をくぐり抜け、四人は地下通路に身を滑り込ませた。そこは背をかがめなければ進めないほど狭く、湿気がひどく、空気は息苦しいほど重かった。崩れた石と泥の匂いが鼻を刺し、遠くで水滴がぽたりと落ちる音が反響していた。「……せまっ……うう、こわいよ...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑩

猫の使者は、白い人形がゆっくりとアイアイとグリグリの方角へ進んでいくのを見つめ、低くつぶやいた。「……なるほど...そういうことなのですね。」その言葉に、アイアイとグリグリは顔を上げる。だが猫の使者はそれ以上は言わず、外套の内から素早く縄を...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑨

しばしの休息のあと、四人は意を決して小講義室の扉を押し開けた。廊下の先には、まだひんやりとした冷気と、どこかでざわめくような気配が漂っていた。アイアイの胸の奥ではデバ石が微かに震え、先に進まなければならないと告げているようだった。「……あっ...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑧

小講義室の薄明かりの中、オイラーはあくび混じりに目をこすりながら、唖然とするアイアイたちに向けて、もう一度言った。「だからさ、手伝ってやってもいいけど……食べ物はちゃんと出してよね。これが条件」グリグリは耳をピンと立てて大げさに叫んだ。「え...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑦

崩れた小講義室の中、オイラーと名乗ったモグラ族の少年は、目を閉じたまま近くの壁にもたれかかった。『ふわぁ』と欠伸をして、そのまま寝てしまったようだった。アイアイたち三人はまだ警戒を解かずに見つめていたが、彼には緊張というものがまるでないよう...
第四章

アイアイの大冒険 第四章⑥

どれほど走ったのか、三人はついに息をつき、崩れ落ちそうな小部屋に身を隠した。そこは学舎の一角にある小講義室の跡で、壁の半分は崩れて穴が空き、外の冷気がしみ込んできていた。いまのところは白い人形、ウーセルの群れの気配は追ってこない。しばらくは...